「非営利型一般社団法人で課税対象となる収益事業34業種の全リストを正確に知りたい」「自社の講座・コンサルティング・教材販売は、どの業種に該当するのか」「会員サービスの中で、どこまでが非課税で、どこからが課税対象になるのか」——非営利型一般社団法人を運営する経営者や、税務処理を行う実務担当者から、こうした具体的な質問が頻繁に寄せられます。本記事では、法人税法施行令第5条が定める収益事業34業種の全体像を整理し、各業種の該当範囲と判定の難所、自社事業の見極め方を「業種別の解説」「該当しない収入の例」「実務での判定プロセス」の3つの軸で深掘り解説します。年商1,000万〜3億円規模の経営者が、自社の事業の税務上の位置づけを正しく把握できる内容で構成しています。
1. 結論:34業種は限定列挙、自社事業の該当性を1業種ずつ判定

| 判断ポイント | 内容 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 34業種 | 政令で限定列挙 | リスト外は原則として課税対象外 |
| 判定単位 | 自社事業を1つずつ判定 | 課税・非課税を分けて処理できる |
| 名称ではなく実態 | 事業の呼び方ではなく中身で判定 | 別名称でも34業種に該当すれば課税対象 |
| 難しい場合 | 税理士・税務署への事前照会 | 運営前に整理しておくと安全 |
1-1. 34業種は政令で限定列挙されている
法人税法施行令第5条第1項は、収益事業を34の業種として限定列挙しています。物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業(放送業含む)、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業(22種類限定)、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業——以上の34業種です。
「限定列挙」とは、法令で明示的に挙げられたもの以外は対象外という解釈方式です。リストに含まれない事業からの収入は、原則として収益事業に該当せず、法人税の課税対象外となります。この明確な線引きにより、非営利型一般社団法人の課税範囲は予測可能な形で定まっています。
1-2. リストに含まれない事業は原則として課税対象外
収益事業34業種に含まれない事業活動から生じる収入は、原則として法人税の課税対象外です。会員相互の交流機会の提供、業界研究、認定基準の策定、政策提言、自治体との連携事業、純粋な情報発信活動など、収益事業34業種のいずれにも該当しない活動からの収入は、非収益事業として処理されます。
- 会員相互の交流機会の提供
- 業界研究
- 認定基準の策定
- 政策提言
- 自治体との連携事業
- 純粋な情報発信活動
ただし、リストに該当しないからといって、すべてが安全に非課税となるわけではありません。実質的に34業種のいずれかに該当する活動でありながら、別の名称で行っているケースは、税務調査で実態に即して判定されます。事業内容の実態を正確に整理し、各業種への該当性を慎重に判断することが、税務リスクを管理する基本となります。
1-3. 自社事業の判定の進め方
実務での判定プロセスは、自社が行う事業活動を1つずつリストアップし、各事業について34業種のいずれかに該当するかを判定する形で進めます。1つの活動が複数の業種に該当することもあり、その場合は最も実態に近い業種で判定するのが原則です。
判定にあたっては、各業種の政令上の定義と、国税庁の通達・実務解説を踏まえて検討する必要があります。判定が難しいケースでは、税務署への事前照会や、税理士・税務専門家への相談を活用することが推奨されます。設立時の事業計画書段階で判定を整理しておくことで、その後の経理処理が安定します。
2. 34業種の全体像(カテゴリ別整理)
| カテゴリ | 該当する業種 | 協会・教育事業での注意度 |
|---|---|---|
| 販売・製造・物流系 | 物品販売業、不動産販売業、製造業、運送業、倉庫業、問屋業、鉱業、土石採取業 | 教材・書籍・グッズ販売に注意 |
| サービス・接客系 | 請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業 | 請負業・出版業は特に重要 |
| 専門サービス・教育系 | 金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、通信業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業 | 技芸教授業・無体財産権の提供業に注意 |
2-1. 販売・製造・運送系の業種群
収益事業34業種の最初のグループは、販売・製造・運送・物流に関連する業種です。物品販売業、不動産販売業、製造業、運送業、倉庫業、問屋業、鉱業、土石採取業がここに該当します。物品販売業は、書籍・教材・グッズ・記念品など、物理的な商品を販売するあらゆる活動を含みます。
- 物品販売業
- 不動産販売業
- 製造業
- 運送業
- 倉庫業
- 問屋業
- 鉱業
- 土石採取業
協会ビジネスや教育・研修事業でも、教材販売やテキスト販売を行う場合、物品販売業として収益事業に該当する可能性があります。製造業は商品を自社で製造して販売する活動、運送業は人や物を運ぶ事業を指します。これらは中小規模の協会ビジネスでは該当することが少ない業種ですが、事業の拡大に伴って関連してくる可能性があります。
2-2. サービス・接客系の業種群
サービス・接客系には、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業が該当します。このうち「請負業」は、コンサルティング、調査業務の受託、研修プログラムの受託提供、認定試験の運営代行など、極めて広範な活動が該当する重要な業種です。
- コンサルティング
- 調査業務の受託
- 研修プログラムの受託提供
- 認定試験の運営代行
「出版業」は、書籍・雑誌・機関誌などの発行・販売を行う事業で、機関誌の販売収入や書籍の販売収入が該当する可能性があります。「席貸業」は会議室や貸会場の運営、「興行業」はイベントの開催運営、「写真業」は写真撮影・販売の事業を指します。協会ビジネスの周辺事業として該当する可能性があるため、注意が必要です。
2-3. 専門サービス・教育系の業種群
専門サービス・教育系には、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、通信業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業が該当します。協会ビジネスや教育・研修事業との関連では、特に「技芸教授業」「無体財産権の提供業」が重要となります。
「技芸教授業」は政令で22種類に限定列挙された技芸の教授に限られます。「無体財産権の提供業」は、特許権・著作権・商標権・ノウハウなどの無体財産権を他者に使用させる事業で、認定資格制度のライセンス料収入などが該当する可能性があります。「不動産貸付業」は、所有する建物・土地を他者に貸し付ける事業全般を指します。
3. 主要業種の該当範囲と判定
| 主要業種 | 該当しやすい収入 | 非課税に整理しやすいケース |
|---|---|---|
| 物品販売業 | 教材・書籍・グッズの有償販売 | 会費の対価としての無償配布 |
| 請負業 | コンサル、研修受託、講師派遣 | 会員向けの一般的な活動 |
| 出版業 | 機関誌・教材の有償販売 | 会員向けの無償配布 |
| 判定の鍵 | 対価性・継続性・販売対象 | 会費との関係整理が重要 |
3-1. 「物品販売業」の広範な該当範囲
物品販売業は、その名のとおり物品を販売するあらゆる活動を含む広範な業種です。法人税法上、商品の販売・教材販売・書籍販売・記念品販売・グッズ販売など、物理的な商品を有償で提供する活動全般が該当します。価格設定が原価程度であっても、有償販売であれば物品販売業となります。
- 商品の販売
- 教材販売
- 書籍販売
- 記念品販売
- グッズ販売
ただし、会員に対する無償配布や、会費の対価として会員に提供される教材・機関誌などは、独立した販売行為ではないため物品販売業に該当しません。販売と配布の境界線、対価関係の有無の判定が、実務上のポイントとなります。会員制ビジネスを運営する場合、教材の提供形態を「会費に含む」か「別途有償販売」かで、税務上の取扱いが変わります。
3-2. 「請負業」の判定の難所
請負業は、他者からの依頼に応じて役務を提供する事業を指します。協会ビジネスや教育・研修事業を運営する非営利型一般社団法人にとって、最も該当しやすい業種の1つです。具体的には、コンサルティング、調査・研究の受託、研修プログラムの受託提供、認定試験の運営代行、企業向けセミナーの実施、講師派遣業務などが該当する可能性があります。
請負業の範囲は極めて広く、「他者からの依頼に応じた役務提供」という性質を持つほぼすべての有償サービスが対象となり得ます。会員向けの個別カウンセリング、企業向けの研修プログラム、コーチング、コンサルティングなど、対価を得て役務を提供する活動は、原則として請負業として収益事業に該当すると考えるのが安全です。
3-3. 「出版業」と機関誌・教材販売
出版業は、書籍・雑誌・機関誌・教材などを発行・販売する事業を指します。協会ビジネスで「会員向け機関誌の発行」を行う場合、その機関誌が会費の対価として無償配布されているなら出版業に該当しませんが、非会員にも有償販売しているなら出版業として収益事業に該当します。
教材についても同様で、会費の対価として会員に無償提供される教材は出版業に該当しませんが、別途有償販売する場合は出版業または物品販売業として課税対象となります。出版物の販売価格、販売対象(会員のみか非会員も含むか)、配布形態(無償か有償か)によって、税務上の取扱いが変わります。事業設計の段階で明確に整理しておくことが重要です。
4. 教育・技芸関連の判定(協会ビジネスに直結)
| 教育・資格関連の活動 | 技芸教授業の該当性 | 別業種の可能性 |
|---|---|---|
| 22種類の技芸の教授 | 該当する〇 | 技芸教授業として課税対象 |
| ビジネススキル・IT・語学など | 技芸教授業には該当しない | 請負業に該当する可能性 |
| 企業向け研修 | 内容により異なる | 請負業の可能性が高い |
| 認定資格事業 | 活動ごとに分解して判定 | 請負業・出版業・無体財産権の提供業など |
4-1. 「技芸教授業」は22種類に限定列挙
技芸教授業は、法人税法施行令第5条第1項第30号が定める政令で、22種類に限定列挙されています。具体的には、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、洋菓子製造、和菓子製造、茶道、生け花、書道、絵画、彫刻、楽器演奏、声楽、舞踊、演劇、演芸、舞踏、写真の22種類です。これら以外の技芸の教授は、技芸教授業に該当しません。
- 洋裁
- 和裁
- 着物着付け
- 編物
- 手芸
- 料理
- 理容
- 美容
- 洋菓子製造
- 和菓子製造
- 茶道
- 生け花
- 書道
- 絵画
- 彫刻
- 楽器演奏
- 声楽
- 舞踊
- 演劇
- 演芸
- 舞踏
- 写真
つまり、ビジネススキル、コーチング、コンサルティング技能、ヨガ・フィットネス、心理カウンセリング、ITスキル、語学、プログラミング、マネジメント、リーダーシップなどの教授は、技芸教授業に列挙されていないため、技芸教授業としては課税対象になりません。
4-2. リスト外の教授は技芸教授業ではないが、請負業の可能性
技芸教授業の22種類に該当しない教授活動が、すべて非課税となるわけではありません。これらの活動は技芸教授業には該当しなくても、別の業種——多くの場合「請負業」——として課税対象となる可能性があります。
例えば、ビジネススキル研修やコーチング講座を企業から受託して実施する場合、企業からの依頼に応じた役務提供として請負業に該当する可能性が高くなります。一方、会員向けに会費の対価として一律に提供する場合は、会費収入の一部として非収益事業に整理できる場合もあります。事業の提供形態と対価関係によって、税務上の取扱いが大きく変わります。
4-3. 認定資格事業の判定
認定資格事業を運営する場合、認定資格の取得に関わる活動は複数の業種が関連します。認定試験の運営は「請負業」に該当する可能性があり、認定教材の販売は「出版業」「物品販売業」、認定講師ライセンスの付与は「無体財産権の提供業」に該当する可能性があります。
複数の業種に跨る事業を一体として運営する場合、各活動を分解して個別に判定し、それぞれ収益事業として処理する区分経理が必要となります。認定資格事業の収入を漫然と「認定料収入」として一括管理するのではなく、内訳ごとに業種を整理して経理処理を行うことが、税務上の安定性を確保する基本です。
5. 不動産・金融関連の判定
| 業種 | 該当するケース | 該当しにくいケース |
|---|---|---|
| 不動産貸付業 | 所有オフィスの一部を他社に賃貸 | 会員向けに無償利用させる |
| 金銭貸付業 | 会員に資金を貸し付け利息を得る | 通常の会員制ビジネス |
| 物品貸付業 | 機器・備品のレンタル | 活動に付随する無償利用 |
| 投資・運用収益 | 頻繁な売買で事業性がある場合 | 預貯金利息・配当などは原則収益事業外 |
5-1. 不動産貸付業の範囲
不動産貸付業は、所有する建物・土地を他者に貸し付けて賃料を得る事業を指します。協会ビジネスを運営する一般社団法人が、所有するオフィスの一部を他社に賃貸する場合、不動産貸付業として収益事業に該当します。
ただし、所有する施設を会員相互の会合・研修のために使用する場合や、会員に無償で利用させる場合は、不動産貸付業には該当しません。賃料収入の有無、外部への貸付の有無、賃貸の継続性などによって、判定が分かれます。事業用不動産を保有する場合は、税務上の整理を慎重に行う必要があります。
5-2. 金銭貸付業・物品貸付業
金銭貸付業は、金銭を他者に貸し付けて利息を得る事業を指します。一般的な会員制ビジネスではほぼ該当しない業種ですが、会員向けに資金援助を行うような特殊な事業設計の場合、該当する可能性があります。物品貸付業は、物品を他者に貸し付けて使用料を得る事業で、機器・備品のレンタル事業などが該当します。
これらの業種は中小規模の協会ビジネスでは該当することが少ないですが、事業の拡大に伴って関連する可能性がある業種です。新規事業の開始時に、その活動が金銭貸付業や物品貸付業に該当しないかを確認することが、税務上のリスク管理として重要です。
5-3. 投資・運用収益との関係
非営利型一般社団法人が保有する預貯金の利息、株式の配当、有価証券の譲渡益などは、収益事業34業種に含まれていないため、原則として収益事業に該当しません。これらの収入は法人税の課税対象外として扱われます。
ただし、株式の頻繁な売買による譲渡益が事業として認識される規模に達すれば、有価証券売買業として課税対象となる可能性もあります。投資・運用収益の規模と頻度を踏まえて、事業性の判定を行うことが実務上の課題となります。法人内に蓄積した資金を運用する場合は、運用方針と税務上の取扱いを事前に整理することが重要です。
6. 34業種に「該当しない」典型例
| 非収益事業に整理しやすい活動 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|
| 会員相互の交流機会 | 会員制の本質的サービス | 非会員に有償開放すると要注意 |
| 業界研究・政策提言 | 34業種に該当しない | 会費収入の一部として整理 |
| 認定基準策定 | 協会の中核活動 | 試験運営・教材販売とは分ける |
| 寄付金・補助金・助成金 | 対価性がない | 委託料の性格がある場合は注意 |
6-1. 会員相互の交流機会の提供
会員相互の交流機会の提供——例えば、会員向けの懇親会、ネットワーキングイベント、勉強会、相互交流の場の提供——から生じる収入は、収益事業34業種のいずれにも該当しないと判断されることが一般的です。これらは会員制の本質的なサービスであり、対価性のある独立した役務提供とは認められにくいためです。
ただし、これらのイベントの参加費を別途徴収する場合や、非会員にも有償で開放する場合は、興行業・席貸業・請負業などに該当する可能性が出てきます。会員サービスの一環として無償で提供される交流機会は非収益事業ですが、独立した有料サービスとして提供される場合は税務上の整理が必要です。
6-2. 業界研究・政策提言・認定基準策定
業界の研究、政策提言、業界基準・認定基準の策定、表彰制度の運営、機関誌の会員配布(販売でないもの)、ボランティア活動の調整、純粋な啓発活動——これらの活動は、収益事業34業種に該当しません。協会ビジネスや業界団体の中核的活動の多くは、こうした非収益的な活動で構成されます。
- 業界の研究
- 政策提言
- 業界基準・認定基準の策定
- 表彰制度の運営
- 機関誌の会員配布(販売でないもの)
- ボランティア活動の調整
- 純粋な啓発活動
これらの活動から生じる収入(一般的には会費収入の一部として処理される)は、法人税の課税対象外です。協会ビジネスの主要活動を非収益事業として整理することで、税制メリットを最大限享受できる事業設計が可能となります。
6-3. 寄付金・補助金・助成金の取扱い
対価性のない寄付金、自治体からの補助金、財団・基金からの助成金などは、収益事業34業種のいずれにも該当しないため、原則として法人税の課税対象外です。これらは法人の活動を支援するための善意の支出であり、収益事業の対価ではないためです。
ただし、補助金・助成金の中には、実質的に特定の事業の遂行を委託する性格を持つものがあります。これらは「補助金」という名称であっても、実態として委託料の性格を持つ場合、収益事業として課税対象となる可能性があります。補助金・助成金の交付条件と性格を踏まえて、税務上の取扱いを慎重に判断することが重要です。
7. 付随業務と一体性の判定
| 付随業務の論点 | 非収益事業と一体扱いされやすい場合 | 収益事業として整理すべき場合 |
|---|---|---|
| 本体事業との関係 | 本体活動に必要不可欠 | 独立した事業として成り立つ |
| 規模 | 一時的・補助的 | 継続的で売上規模が大きい |
| 経理処理 | 本体活動と一体で説明可能 | 区分経理が必要 |
| 按分基準 | 合理的な基準を継続適用 | 恣意的な変更は避ける |
7-1. 本体事業の延長としての判定
収益事業の判定で実務上頻繁に問題となるのが「付随業務」の取扱いです。本来は非収益事業として行う活動に付随して、若干の物品販売や役務提供を行うケースが頻繁にあります。例えば、会員交流会で軽食の販売を行う、研修会で関連書籍を販売する、認定試験の受験者にテキストを販売する——といったケースです。
- 会員交流会で軽食の販売を行う
- 研修会で関連書籍を販売する
- 認定試験の受験者にテキストを販売する
基本的な考え方は、付随業務が本体の活動と一体として行われ、独立した収益事業として認識できる規模・性質でなければ、収益事業から除外されることがあります。本体の非収益活動の遂行に必要不可欠で、それ自体を独立した事業として認識できない程度であれば、本体活動と一体として扱うことが認められる場合があります。
7-2. 規模・継続性による分岐
付随業務の判定は、規模と継続性によって分岐します。一時的・補助的な範囲であれば本体活動の一部として扱える可能性がありますが、定期的・反復的に行われ、独立した売上規模を持つ段階に達すれば、収益事業として課税対象となります。
具体的な金額基準は法令上明確に定められていませんが、年間の売上規模、本体活動に対する比率、独立した売上として認識できる継続性などを総合的に判断します。事業の規模が拡大していくほど、付随業務を独立した収益事業として整理し直す必要が出てきます。
7-3. 区分経理の難所
収益事業と非収益事業の区分経理は、実務上の最大の難所の1つです。共通経費の按分基準、給与の按分、家賃・水道光熱費の按分、減価償却費の按分など、多くの費用項目で適切な按分基準を設定する必要があります。
- 業務時間比率
- 売上比率
- 職員数比率
- 面積比率
按分基準は、業務時間比率、売上比率、職員数比率、面積比率などが用いられ、各費用の性質に応じて合理的な基準を選択します。一度設定した按分基準は継続的に適用することが税務上の要請であり、毎期同じ基準で按分計算を行うことで、税務調査での説明可能性を確保できます。
8. 実務での判定プロセスと税務対応

| 実務プロセス | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 設立時 | すべての事業活動をリストアップ | 税務上の見通しを作る |
| 判定時 | 34業種への該当性を検討 | 収益事業・非収益事業を分類 |
| 開始前 | 顧問税理士と事前協議 | 税務リスクを最小化 |
| 運営中 | 区分経理・按分基準を継続適用 | 説明可能性を確保 |
| 税務調査対応 | 判断根拠・検討メモを整備 | 安定した説明が可能 |
8-1. 設立時の事業内容整理
実務での判定プロセスは、設立時の事業計画書の段階で始まります。自社が行う予定のすべての事業活動をリストアップし、各事業について収益事業34業種のいずれかに該当するかを整理します。この整理を踏まえて、定款の事業目的を記載し、収益事業と非収益事業の見通しを立てます。
設立時に丁寧に事業内容を整理しておくことで、その後の運営フェーズで税務上の混乱を回避できます。事業内容の見通しが甘いと、運営開始後に「想定外の収益事業が発生していた」という事態に陥り、修正に大きなコストが発生します。設立時の専門家サポートの中で、最も重要な作業の1つです。
8-2. 顧問税理士との事前協議
収益事業の該当性が明確でない事業を開始する場合、事前に顧問税理士と協議することが極めて重要です。税理士の判断を踏まえて、税務上の取扱いを整理し、必要に応じて税務署への事前照会を活用することで、税務リスクを最小化できます。
一般社団法人の税務に精通した税理士をパートナーに選ぶことが、実務上の安定性を支えます。月次の経理処理、決算・申告、税務相談を一貫してサポートできる体制を整えることで、複雑な収益事業判定にも対応できます。
8-3. 税務調査での説明準備
税務調査では、収益事業と非収益事業の区分の妥当性が厳しく確認されます。各事業活動が34業種のいずれに該当するか(または該当しないか)の判断根拠、共通経費の按分基準の合理性、付随業務の判定根拠などを、書類で説明できる準備をしておく必要があります。
- 事業活動ごとの内容説明書
- 収益事業判定の検討メモ
- 按分基準の説明資料
- 過去の判定経緯の記録
具体的には、事業活動ごとの内容説明書、収益事業判定の検討メモ、按分基準の説明資料、過去の判定経緯の記録などを整備しておきます。税務調査が来てから慌てて準備するのではなく、平時から書類整備を行っておくことで、税務調査での安定性を確保できます。
まとめ|34業種の限定列挙を活用した事業設計が節税の鍵
収益事業34業種は、法人税法施行令第5条に限定列挙された業種であり、非営利型一般社団法人の課税範囲を決定する核心の概念です。物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業(22種類限定)、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業——これら以外の事業活動からの収入は、原則として法人税の課税対象外となります。
実務上、協会ビジネスや教育・研修事業との関連で特に重要な業種は、請負業(コンサルティング・受託業務)、出版業(書籍・教材販売)、物品販売業(教材・グッズ販売)、無体財産権の提供業(ライセンス事業)、技芸教授業(22種類の技芸の教授に限定)です。これらの業種への該当性を慎重に判定し、収益事業と非収益事業を区分経理する体制を整えることが、税務上の安定性を確保する基本となります。
結論として、年商1,000万〜3億円規模の経営者が非営利型一般社団法人を活用する際は、自社の事業活動を1つずつ34業種に照らして整理し、収益事業に該当するもの・しないものを明確に区分することが、節税スキームを安全かつ効果的に運用する出発点となります。判定が難しいケースでは、顧問税理士との事前協議や税務署への事前照会を活用し、運営開始前に税務上の見通しを確定させることが推奨されます。本記事の業種別解説を自社の事業に当てはめながら、専門家のアドバイスを受けて最適な事業設計を行うことが、長期的な節税効果を実現する鍵となります。

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